『ノー・メルシー』とは英語で『ノー・サンキュー』と同じ意味である。

「フランス語は、イタリア語やスペイン語の親戚みたいなもの」と
聞いていたので、通訳も頼まず日々を過ごしていたが、どうも会話が
噛み合わない場面に遭遇する。
『意思疎通がうまくいかず、とんでもないミスを犯すよりも』と思い、
通訳を頼むことにした。

少年の頃、映画で見た『ラ・ブーム』のソフィー・マルソーみたいな
フランス人女性を想像していたのだが、50代半ばの日本人女性。
(もしかして60代かも?)
しかし、彼女は俳優、緒方拳氏や永島敏行氏らが御用達の通訳の方で、
フランス人を夫に持つ、在仏20年以上の上品を演じている女性だった。
ソフィーとは少しイメージは違うが、とりあえず2日だけ通訳を依頼した。

彼女は、僕を普通の観光客と思ったのか、やたら高級ブランド品の話題と、
お奨めのブランド店を紹介してくれる。
『ノー・メルシー』と苦手なフランス語で、丁重にお断りした。

夕食をどこで食べるか悩んでいると、彼女は韓国料理を推薦して来た。
こちらも『ノー・メルシー』とお断りした。

夜遅く、小腹がすいたので夜食でも食べようと思い、うろうろしていると、
下町の不良グループに絡まれ、「お金を出せ!」と言われた。
ここで弱腰になれば、味をしめた彼らは、他の日本人にも同じことをする。
人一倍正義感の強い僕は、たった一人で彼らに立ち向かうことを決意した。
『ノー・メルシー』と強い口調で相手に叫ぶと、こういう場面で使う言葉でない上、
意味が通じず会話が成り立たなくなったのか、不良たちは唖然とした。

ここですかさず、グループ唯一の女性と勝手に携帯で記念写真を撮ってみせると、
どう思ったのか、彼らは慌てて逃げ出していった。
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みなさんも、パリで困ったことがあれば『ノー・メルシー』を合言葉に!

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