取引先のご親族の方が亡くなられたので、お葬式に出席することになった。
場所は、とんでもない田舎の過疎地。
飯田橋からだと、普通の人なら車で2時間。
俺の一番星(愛車の名前)なら1時間でいけるぜ。
と、気合を入れて出発した。
なんなく到着したが、数珠を忘れてきたことに気付いた。
数珠なしでお焼香などすれば、僕だけならまだしも、
300人に及ぶ従業員のみなさんや、その家族の方々にも、
恥をかかすことになる。
人一倍、責任感の強い僕は、田んぼだらけのその場所で、
たった一人で数珠を売っている店を探しはじめた。
偶然通りかかったお婆さんに、「この辺に数珠を売っている店はないですか?」
と質問するのだが、僕の関西なまりの標準語が田舎の人には通じない。
身振り手振りを加えつつ、10回以上同じ質問を繰り返すと、
やっと理解してもらえたらしく、「この先の自動販売機で売ってるべぇ」との答え。
自動販売機?と疑問に思ったが、さすが田舎。自動販売機で数珠が売ってるんだ。
と感心し、先を急いだ。
それらしい自動販売機に到着したが、コカコーラの販売機だった。
「そうか!あのお婆め。数珠(ジュズ)とジュースを聞き間違えやがった。」
慌てて引き返し、お婆をとっ捕まえ、数珠とジュースの違いを説明した。
こうした珍道中を繰り返しながら、やっとの思いで仏壇屋を発見。
「数珠を売ってください。念のため言っておくがジュースではないよ。」と言うと、
仏壇屋の女将が開口一番、「あなたの背後に素晴らしいオーラが出ている。
天運を持って生まれてきた人だ。」と言い出した。
最初は千円程度の数珠を買うつもりだったが、
5千円の数珠を買わされてしまった。