Archive for 10 月 1st, 2007

女性従業員Nさんのお父さんが、高知県で漁師をしているのは、
風の噂で聞いていた。
一度漁師の方と、本物の釣りをしてみたいと思っていたが、厚かましいので、
言い出せなかった。

それから数年間、Nさんに会うたびにお世辞を言い続けた結果、
遂にその時がやって来た。Nさんからお誘いが掛かったのだ。
釣り部のメンバーは、期待に胸を膨らませ、高知県に向かった。

コンビニで、缶ビールや弁当を買い込んで、Nさんのお父さんの漁船に乗り込んだ。

沖に出ること約30分。魚群探知機も使わず、岸に見える山と山の角度から、
ポイントを決定するカッコ良さは、さすがプロという感じであった。

釣竿もリールも使わず、海底150メートルのポイントに、
150号のオモリと餌を落とし込み、何度も素手で引っ張り上げる。
鯖や連子鯛は沢山釣れるのだが、狙いのクエは中々釣れない。
握力が無くなり、集中力も薄れてきた時、20号もある道糸がもつれてしまった。
どうしようか悩んでいると、Nさんのお父さんが糸を歯で簡単に切り、結び直してくれた。
5号の糸を噛み切るのも、難しいのに、その4倍もの強度の糸を簡単に噛み切る!
釣り部の連中の、彼を見る目が、尊敬の眼差しに変わっていった。

お昼ご飯を食べた直後、漁船にゴミ箱が無いのに気付いた。
漁師の方の目の前で、海にゴミでも捨てれば、おもいっきり激怒されるに違いない。
陸に上がってから捨てに行こうと思い、船の端の方に固めて置いておいた。

釣りも終了し、岸に向かって船は走り出した。
10分くらい経過した時、Nさんのお父さんは船の端にゴミがあるのに気付いたらしく、
悪びれる様子も無く、堂々と、全てのゴミを海に投げ捨ててしまった。

釣り部の連中の、彼を見る尊敬の眼差しが、徐々に冷め始めていった。