Archive for 10 月, 2007

テレビを見てくつろいでいると、エアロビクスの番組がやっていた。
インストラクターの笑顔がとても素敵だったので、フィットネスクラブに
入会することを決断した。

従業員のM川君は、奥さんとともにフィットネスジム歴がとても長く、
新婚旅行や海外旅行の時も、現地のジムに行く程のツワモノと
聞いていたので、彼に相談することにした。

M川君から、「東陽町に所属するジムの姉妹店があるので行きましょう」と
言われ、彼と彼の奥さんと3人でジムに行った。

サプライズ! そこは、素敵な笑顔のインストラクターなどいるはずもない、
格闘家とマッチョの集まる、厳つく、男臭いジムだったのだ。

M川君は、顔役らしく、店長やプライドの選手を紹介してくれたのだが、
僕は、辞めれなくなることを恐れ、無愛想に挨拶した。

M川君に、一通りジムの機械でしごいてもらった後、彼のジムワークを見学した。
ベンチプレス200キロを軽々上げていたのには驚いた。

「連れて来てもらった御礼に、帰りに飯でも食べよう」と誘うと、
先を読んでいたのか、「既に水道橋の高級焼肉店を予約している」という。
「マッチョや格闘家は、焼肉等で無駄な脂肪分を取ってはいけないのでは?」と聞くと、
「たまには良い」との答え。

焼肉店の全種類の肉を2セット食べ、ご夫婦とも相当満腹になったように、
お見受けしたので、「そろそろ帰ろうか?」と聞くと、
「10分間インターバルを置いて、もう1セット食べる」と言いだし、全て完食。
クールダウンの為にと、冷麺とアイスクリームまでお召し上がりになられ、
食後の運動と言い残し、10キロの道程を歩いて、お帰りになられた。

僕はT県名産のホタルイカが大好物だった。
沖漬け・素干し・黒作り・塩辛などは、
まさに日本海の妖精と呼ばれるに相応しいものがあった。

しかし、8年前の雨の日、悲しい出来事が起こった。
従業員のY君が、5人のT県人に囲まれ、卑劣な行為を受けてしまった。

その時僕は、一生ホタルイカを食べないことを心に誓った。

今日、広告会社の営業マンが、飛込みで営業に来た。
眉毛が薄く、とても人相の悪い男だった。

念の為、彼に出身地を聞くと、T県人だった。
話をしてみると、意外にも良い人のように見えるではないか。
しかし、良い人を演じているだけで、悪人かも知れない。

「底なしのフトコロを持つ男」と、呼ばれたことのある僕は、
相手をすぐにフトコロに入れてしまう悪い癖がある。

広告の一部を、彼に依頼し、賭けて見ることに決めた。

彼が良い仕事をしてくれたなら、ホタルイカを食べようと思う。

コールセンター・データエントリー・印刷会社の社長達と
共同で合弁会社を設立することとなり、実際の作業現場の
確認の為、大連に集合した。

視察後、夕食の懇親会まで時間があったので、現地の方が
観光に連れて行ってくれると言う。
他の社長達がゴルフに行く中、「天王寺のムツゴロウ」と
呼ばれたことのある僕は、ただ一人サファリパークを選択した。

日本では、考えられないことが、色々あるのは、上海や深センで、
かなり慣れているはずだったが、驚くべき光景を見た。

サファリのバスの乗客達が、1元ずつお金を出し合い、
生きたニワトリを数羽買い、ライオンや狼の居る場所で放し、
狩りの瞬間を見て楽しんでいるのだ。

必死で逃げるニワトリだが、ほんの5秒でやられていた。
人間だったら1秒もつかと思うと、背中に冷や汗がほとばしった。

アフリカで野生の動物達の絵を書いてみたいという夢も消えてしまった。

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女性従業員Nさんのお父さんが、高知県で漁師をしているのは、
風の噂で聞いていた。
一度漁師の方と、本物の釣りをしてみたいと思っていたが、厚かましいので、
言い出せなかった。

それから数年間、Nさんに会うたびにお世辞を言い続けた結果、
遂にその時がやって来た。Nさんからお誘いが掛かったのだ。
釣り部のメンバーは、期待に胸を膨らませ、高知県に向かった。

コンビニで、缶ビールや弁当を買い込んで、Nさんのお父さんの漁船に乗り込んだ。

沖に出ること約30分。魚群探知機も使わず、岸に見える山と山の角度から、
ポイントを決定するカッコ良さは、さすがプロという感じであった。

釣竿もリールも使わず、海底150メートルのポイントに、
150号のオモリと餌を落とし込み、何度も素手で引っ張り上げる。
鯖や連子鯛は沢山釣れるのだが、狙いのクエは中々釣れない。
握力が無くなり、集中力も薄れてきた時、20号もある道糸がもつれてしまった。
どうしようか悩んでいると、Nさんのお父さんが糸を歯で簡単に切り、結び直してくれた。
5号の糸を噛み切るのも、難しいのに、その4倍もの強度の糸を簡単に噛み切る!
釣り部の連中の、彼を見る目が、尊敬の眼差しに変わっていった。

お昼ご飯を食べた直後、漁船にゴミ箱が無いのに気付いた。
漁師の方の目の前で、海にゴミでも捨てれば、おもいっきり激怒されるに違いない。
陸に上がってから捨てに行こうと思い、船の端の方に固めて置いておいた。

釣りも終了し、岸に向かって船は走り出した。
10分くらい経過した時、Nさんのお父さんは船の端にゴミがあるのに気付いたらしく、
悪びれる様子も無く、堂々と、全てのゴミを海に投げ捨ててしまった。

釣り部の連中の、彼を見る尊敬の眼差しが、徐々に冷め始めていった。